斑入りアラビス
冬の寒さで
ピンクに色づく葉を持つ
ヨーロッパ南部の
山岳地帯出身のアブラナ科
なんて優しいお花なの～
この子の花言葉は
「愛の絆」
だそうだ
もうすぐ3月11日
テレビはどこも
3.11
冬と呼ぶには
あまりに過酷
一瞬に始まって
まだその冬が続く
その中で
人々が美しく
ピンクに染まり始め
優しい花も咲き始めた
それを
報道で確認しながら
私の中で
止まっている時計に気がつく
あの日
地獄絵図を縫って
たどり着いた高台で
抱きしめた
おばちゃんは
寒空の下で
ブラウスにエプロンだった
自分を責めて
泣いていた
天を責めるのではなく
運を呪うのではなく
手の届くところにいた
義母の手を
離してしまった
自分を責めて
一緒に泣くしかなかった
言葉の無力さ
抱きしめた手に
力を込めるしかなかった
あの日まで
その地を踏んだことがなかった
気仙沼
片時も忘れることが出来ない
遠い遠い故郷
おばちゃんは今
どうしているだろう
心にピンクがさし
フワフワの真っ白い
幸せが咲いているだろうか
たくさんの人が
たくさんの愛を放って
たくさんの絆を結んだ
自分にできることは何か
みんな真剣に考え
迷わず踏み出した
大きなことをなした人
小さなことを
人知れずした人
みんなが結んだ絆が
四方八方にのび
重なりあって
根になった
美しい葉が萌えだし
あふれる花が咲く
もうすぐ
満開の花が咲く
天地の激高に
抗うすべのない
小さな木の葉のような人間に
これほどまでの力があろうとは
おばちゃんを思って
胸に手を当てる
おばちゃんの薄い肩を
覚えている手を握って
胸に当てる
おばちゃんとつながる根
お会いしたすべての人とつながる根
あの日から
勇気ある行動を取り続けた
全ての人とつながる根
満開の花を必ずや咲かせる根
それらの根の端緒を握り
祈りを握る
感謝を握り
感動を握る
すさまじい人間の
底力と勇気に
畏敬の念を握る
これから吹く春風の種を握る
♡♡♡
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