オニユリちゃん
去年は
異常気象のせいだろうか
オニユリちゃんは咲かなかった
球根のある場所は
知っているので
球根自体を
どこかのかわい子ちゃんに
食べられたのかと
思っていたが
同じ場所に
今年また咲いたので
ちょっと嬉しかった
今日は
食べるお花を採って
掌に載せたら
蜂さんが追いかけてきた
手の上のお花に
潜り込もうとする
「どうぞ」
といったら
ちょっと潜って去っていった
その後
車に乗って
しばらく走ったところで
アブちゃんが
中に入っているのに気が付いた
窓を開けながら走ったが
アブちゃんには風圧が厳しい
少しづつ左側の窓際に
移動して
あと2センチくらいで出られそう
「もうすぐだよ
どこかで出られるからね」
と声をかけた
しばらくすると
突然私の左手に飛んできて
「チュッ」
実際は
「ジュッ」
に近いが
手の甲に一瞬止まって
すぐに窓の外に飛んで行った
まるで
挨拶のキッスのようだった
虫さんたちは
人間の言葉も思いも
ちゃんと理解している
人間だけが鈍いのだ
IPCC
国連気候変動に関する
政府間パネルが
9日に公表した報告書では
産業革命前から
1度ほど気温が上がり
10年に1度の熱波の発生が
2.8倍になったとある
産業革命前から1.5度の上昇で4.1倍
2度の上昇で5.6倍になるそうだ
豪雨の発生も
20世紀後半よりも
1.7倍に増えているが
気温上昇が2度になると2.6倍
4度だと3.9倍になるそうだ
そうでなくても
大きな水害が日本でも毎年のように起こり
世界中のいたるところで起こっている
山火事も非常に多い
もはや異常気象のレベルではなく
「気象危機」だと
疑う余地のない人災だということだ
産業革命以降
富を追いかけることに
無我夢中で
何十年も前から
警鐘は鳴っていたのに
まさかその道の先が
これほどまでに急峻な
断崖絶壁だと想像する力も
論理で理解する力もなく
不都合なことには
耳栓をし
目を伏せて
あっという間に
ここまで来てしまった
足元では
ガラガラと岩が
海に崩れ落ちていく
オニユリの花言葉に
「富と誇り」
がある
そして
「賢者」と言うのもある
賢き者は
天の声を聴く
積み上げた富の高さと
足元の崖のもろさを知る
誇りなき富を抱え
深い波間に落ちていく前に
地球の悲鳴に
動物たちの叫びに
人よ
神の子であるならば
もう一つの道を選べ
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