シランのお花
シラン（紫蘭）は日本に自生する蘭
それなのに野生は絶滅危惧種
大事にしないといけない
他に白やピンクがある
シランの花ことばは
「あなたを忘れない」
ず～～～～～と昔に聞いたことがある
男の人の心には
最初に好きになった女性（ひと）が永遠に住む
女の人には
最後に好きになった男性（ひと）が住むと
出自も忘れてしまった
真偽のほどもわからない
ただ
この言葉を知った頃
そうした「ひと」になれたらいいなと思った
ある人の心の中に
たった一人永遠に住み続けられる「ひと」に
誰かと結ばれるより尊いと思った
複数の人の心に住むこともできる
当の男性も含めて
そこから追い出すことは誰にもできない
ましてや
そこに住む
いや住まわせていただくためにできる手立ては
女性の側にも一切ない
ただただ神秘と言うか
ロマン～
高校一年生の時に
親友が私を連れて学校の塔のような建物の最上階に連れ出した
そこには同級生だがクラスが違う男の子が待っていた
名前も知らなかったが（私はとにかく人に疎かった）
その存在を学校で
いやもしかしたら地域でも知らない人はいなかったかもしれない
先輩たちも先生でさえ恐れる暴れん坊だった
ものすごく怖かった
「つきあってくれ」
おもむろに言われた
！
絶句とはこういうときに使う言葉だろう
しどろもどろで
必死に断った
親友が教えたのだろうが
誕生日が近いことを知っていて
プレゼントをくれるという
「つきあえないからもらえない」
と押し問答を繰り返したが
親友のとりなしで受け取ることになってしまった
それは今でも忘れない
グリーンに小花の傘の下に
まっ白いスピッツが椅子に座っていた
傘の下に小さなランプがついていた
怖い顔で
笑うともっと怖かった
その彼が選んだ贈り物は本当にかわいかった
それから家に帰って
考えて考えて
その頃ひそかに思う人がいた
その人はスポーツマンで頭がよくて
いわば花形で
とても手の届く人ではなかった
必死に忘れようとしていたタイミングで
この恐い人からの告白を受けた
結局これが引き金で
やっぱり私は自分の思いを貫こうと決めた
かなうことのない思いだとわかっているけれど
この思いを貫きたい
本当にごめんなさいと手紙を書いた
それがますます彼を燃え上がらせてしまい！
それからしばらく手紙でのアタックが続いた
あの怖い人が書く文字はそれはそれは美しかった！
そしてついに
「貴女の幸せを祈っている」
という言葉が届いた
その後本当に彼は私の前に現れなかった
それから約8年後
突然私は弟を事故で失った
当時東京にいた私は葬儀のために家に戻った
葬儀の当日
お焼香してくださる人の列に
この彼がいた
彼は遠くから私の目だけを見て
最後まで決してその目を離すことなく
一言も言わずお焼香だけして去った
弟のことではどれほどの人達に
どれほどの言葉をかけていただいただろうか
どれほどの支えをいただいたことだろう
感謝してもしきれない
その中で
思い出すと今も涙がこぼれるのは
この彼の無言のまなざしだ
無言は千の言葉にも勝る
無言の愛
本当の愛とは
本当に好きになるとは
この彼に教わった
電話だってあって
手紙だって書ける
会いにだっていくらでも来れる
そんな距離だ
けれど
彼は一切しなかった
「貴女の幸せを祈っている」という言葉をたがえることなく
感謝しかない
深い深い尊敬と
そして
暴れん坊を旨とする男の愛のあり方に
深く感動する
その愛に応えることはできなかったけれど
そのまっすぐな思いと
手つかずの愛を
私は片時も手放すことがない
あなたはそうやって私に住みついた
最初でも最後でもない
恋した相手でもない
それを超越した
「誇り」高き存在として
あなたは私の中で生きている
私は
そのあなたを裏切らないように生きたい
最後まで
あなたが愛した心を生きる
あなたの祈りを生きる
あふれる幸せを生きる
あなたのために
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